【シニアとポストマタニティ】三世代消費シーンの食のトレンド

三世代消費は無視できないボリューム層

メーカー各社が本格的に取り入れ、一層その重要性が高まっている「子ども・両親・祖父母」の密接な生活シーンにフォーカスした「三世代マーケティング」。特に三世代が近接で別居しているケースは大きなインパクトを持っています。今回は三世代シーンの食のトレンドについて整理します。

…団塊世代の流入エリアと、その子どもたちの世代が流入するエリアは、都心部を除けばほぼ重なることになる。つまり、親子の世代が同じエリアに流入しているのだ。
『辻中俊樹・団塊が電車を降りる日』(東急エージェンシー、2005年、130頁)より

三世代近接別居がボリュームを持っていることは人口動態が関係していますが、子育て中の夫婦が(特に妻方の)実家の近くに住み、小さな子供を連れて実家に行って過ごすのがこのシーンの典型です。この三世代の接点が週に1回程度、年間50回以上あるといわれています。この場合、実家の両親が娘夫婦の生活をサポートする側面と、孫と過ごす時間的価値による相互の関係が成り立っています。妻方の実家になると、妻にとっても気を使わず日頃の育児疲れを癒す事ができる事もあり、遠慮のないシーンの中で三世代の日常的な関係性が築かれていきます。

実家から持って帰る食品は何?

実家からの帰りには果物、パンや惣菜、ソーセージやベーコンなどの加工食品などをもらって帰ってくることが多々あります。この時のソーセージや練製品はナショナルブランド(NB)商品が多いのには理由があります。このNB商品の購入者が実家の両親であることは想像に難くないところです。PBとNBの味や質の違いを知っているのが実家の両親であり、価格を比較して敬遠するのが娘夫婦、ここに孫が食べるという心理的なスイッチが入り、NB商品が娘夫婦に贈与されるというメカニズムが働くわけです。また、販売データではシニアの購入頻度が高いとされるヨーグルトやチーズのように、頻繁に遊びに来る孫が食べるために買い置きをするという三世代連鎖消費の性質が強い商品も存在します。

孫と一緒にマクドナルドに行きますか?

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マクドナルドもファミリーレストランも現在のシニア層と共に成長してきた。

実家の両親が団塊世代と仮定して食の背景を考えてみましょう。1971年に日本一号店を出店したのがマクドナルド。この年、団塊世代の先頭である1947年生まれの人の年齢は24歳でした。同じくすかいらーく一号店の出店は1970年です。団塊世代はマクドナルドやすかいらーくと一緒に成長してきた世代ということができます。当時のマクドナルドやすかいらーくはプレミアム感のあるアメリカンフードという位置づけでした。家族みんなで特別な食事をする場所として、マクドナルドやファミリーレストランの存在価値が高かったわけです。特に最近は何かと暗い話題の多い食事を敬遠する心理と、歳を重ね「旬」が食の決定要因になった今では、マクドナルドで孫とハンバーガーを食べることの価値が低下するのもやむを得ないのかもしれません。

ヤオコー(スーパー)の売場が支持される理由

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生活と生活の転換点としての<間食>シーンが増加している。間食シーンの増加に合わせてイートインの可能性も広がっている。

一方でデパ地下などの中食や、内食のクオリティは高くなりました。ヤオコー(スーパーマーケット)の富士見ららぽーと店は、ヤオコーの店舗の中でも特に実験的な試みをしています。スーパーの中にデパ地下(総菜売場)や駄菓子屋(菓子売場)が入っているような雰囲気といえば近いでしょうか。NB品は店舗中央に整然と並んでいます。ドライフルーツのケースなど、素材の品質はもちろんですが買物をする空間の提供にも配慮されているようです。ヤオコーのユーザーは野菜が新鮮と感じる、実演が楽しいなど、素材や雰囲気の良さを気に入っている人も多く見られます。インストアベーカリーのパンのクオリティが上がっているのも最近のスーパーの特徴といえます。ここにイートインが設置されることで、これまでファストフード店の価値だった食空間が、スーパーやコンビニにも波及してきているわけです。コンビニにベーカリーやラーメン店が併設される日もそう遠くないかもしれません。いえ、むしろそうなってしまうと途端に魅力を感じなくなるのが人の常というものでしょうか。

シニアと子育てママの健康な食事とは

2014年は約100万人の出生数です。このうち約47.5万人が第一子出産、第二子出産が36.5万人、第三子以降が16.5万人となっています。例えば二人の子育てをする家庭では第一子妊娠から第二子が3歳になるまでの約8年間は、妊娠中の体重管理や子どもの食事にアレルゲンを避けるなど、食には特に気を使わなければなりません。ここに三世代の食シーンを考えるヒントがあります。カロリー、塩分、糖分、油分、アレルゲンなど、妊娠中に敬遠される素材は、団塊世代が敬遠する素材の多くと共通しています。つまり、実家の両親と娘親子が三世代で同じ料理を食べることについては、全く違和感がないということになります。

クックパッドの人気レシピの共通点

三世代連鎖消費の食としては鍋がある。ここにフィットする商品でsあれば三世代一緒の食卓でなくても商品が動く可能性は十分ある。

冬の三世代の食卓としては鍋がある。ここにフィットするものは実家から持って帰る食品の中に入る可能性も十分ある。

このように見てくると、最近クックパッドの人気レシピなどに多い、旬を取り入れた料理や、デパ地下風レシピ、家庭的な和惣菜や中華惣菜、調味料の使い方を工夫した健康調理法などの人気が高まる理由がわかってきます。特に殿堂入りレシピ(つくれぽが1000件以上)を見てみるとその傾向は顕著です。三世代を中心とした食シーンを観察するとなるほどと頷けるインサイトが多く見つかります。例えば、秋冬は平日におでんが伸び、週末に鍋が伸びることがわかっています。大量に作って数日かけて食べる味の染み込んだおでんは、平日手軽に食べられるファストメニューとして食べられる一方、鍋は週末家族で囲んで〆で食べきります。このシーンからおでんと鍋が似て非なる料理ということを認識し、鍋が家族のごちそうになっている=三世代の食卓での提案可能性が高いのは鍋と仮説立てることができます。一つ一つ紐解いて食卓の実態とTPOPP(Time,Place,Occasion,Product,Psychology)がどのように関係しているかを分析することは、生活者に響く提案をする上で欠かせない作業です。

(執筆:辻中 玲)

【健康・機能性】ベジタリアンが好む世界のトレンドは豆腐とフムス。日本国内では納豆の伸びが顕著

国内では体調維持を目的に利用される納豆が伸びる

Googleトレンドの人気度では、ベジタリアンやマクロビオティックを支持するユーザーに特に人気なのは豆腐とフムスとなっています。フムス(ハマス)とは、ひよこ豆と練りごま、オリーブオイル、ニンニク、レモン汁をフードプロセッサにかける中東のペースト状の料理です。
参考(inspiredtaste.net):フムスのレシピ

豆腐の料理では、海外で「mapo tofu」とよばれ成長している麻婆豆腐の他、「baked tofu」(焼豆腐)も人気です。一方で日本国内では納豆の伸びが顕著です。購入金額は世代差が少なく、健康維持のために毎日食べるユーザーも多い納豆ですが、特に若い世帯では、野菜と合わせてサラダにするなど新しい食べ方が受け入れられている結果ともいえます。
参考(cookpad.com):納豆を使ったサラダのレシピ

【健康・機能性】2014年夏の健康系キーワード、キヌア、デトックス、ラタトゥイユ

ラタトゥイユ

ラタトゥイユは少ない調味料で温めても冷やしても旬野菜が楽しめる、最近の健康的な食の象徴といえる。

夏に注目が高まったキヌア、ラタトゥイユ、デトックス

2014年夏は7月にキヌアが注目を集めました。この時期にはゴーヤを始め、ラタトゥイユやデトックスなどが注目を集めましたが、これは梅雨から夏にかけての季節に特に夏バテを予防して健康に過ごしたいという思いが表れた結果と考えられます。ラタトゥイユは塩のみの調味料で夏野菜を調理し、冷製や常温で、またパンに乗せて食べるなど実用性が高いのが特徴で人気を集めています。一方、キヌアのユーザーの中にはクランベリー、ナッツ、ビーツ、ケール、豆など野菜や豆などを中心にした特に健康に気づかった食になっている傾向がみられます。キヌアは食べ方が一般に浸透していないため、ユーザーの試行錯誤が続いているようです。

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Google トレンド における推移

塩レモンのヒットと季節性

健康的な発酵調味料として、2014年に話題となった塩レモンですが、2012年の塩麹のヒットと比較するとかなりのボリューム差が見られます。国産レモンの出回り期である10月以降も人気度を保っているようですが伸びは限定的です。塩レモンがヒットした6月は、らっきょう漬けや梅ジュース、しそジュースなど酸味の効いた料理や飲料の人気が高まります。6月は酢の購入数量が年間で最も高く、自家製梅ジュースやしそジュースには根強い人気があります。

食酢の月別購入比率

酢の購入数量が高まる6月は梅雨時期で湿度が高く、食物の保存が難しい季節です。らっきょう漬けなどは、日本が古くから培ってきた旬を取り入れる食文化ではありますが、比較的若年層にも受け入れられているとみられます。2015年夏も酢を使うなど保存性が高く、酸味の効いたさっぱりとした料理がトレンドとなる可能性は高いといえます。
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資料:総務省「家計調査」(二人以上の世帯)