食のトレンド文庫「スーパーマーケットの食トレンド」むかしはいまの物語

【スーパーマーケットのマーケティング事始 第6回】ID-POSとお客さまの買物カゴの中身

POSの普及で商品管理手法が変わる

ビッグデータの分析とマーケティング筆者が流通関係の仕事を始めたのは1980年前後であり、ちょうどPOSシステムの啓蒙が始まった頃だ。当時はレジスターは標準化されていたが、これはあくまで売上管理の道具であり、商品別売上は把握できなかった。したがってPOSレジが本格的に普及する1990年代半ばまでは、単品の売り上げがどうなっているか正確なところはわからなかった。

それがバーコードによる管理が普及したことにより、すべての商品の販売数量が把握できるようになり、その数量を基にしたABC分析も、当たり前の商品管理手法となった。

POSシステムが標準化されることで起こった最も大きな変化は、メーカーと小売業の立場の逆転だ。POS以前は新商品の販促はメーカー主導で行われた。立ち上がりの実績は多少悪くても、過去の類似商品の動きからすれば、もう少し我慢すれば動き始めると説明すれば、扱いを継続してもらえることもあった。ところがPOSデータで売上数量を把握できるようになって以来、大手メーカーの新商品であっても、情緒的な言い訳は通用しなくなった。とくにコンビニチェーンでは、扱い商品が限られるため、新商品カットの基準は4週間の販売実績となりメーカーは悲鳴を上げることになった。

単品管理から属性とのクロス管理が主流となる

個人データベースPOSシステムの普及によって、スーパーマーケットの現場でも大きく変わったことがある。それは単品の売上がわかるようになったため、売場で仮設を立てて商品マッサージをすることが少なくなったこと。POSデータがなかった時代には、商品の陳列位置を変えてみたり、メーカーが調味料売場での販売を想定して開発した商品を、パスタ売場でプレゼンテーションしてヒットさせたりといったことがあったが、最近はこのようなトライもメーカーからの提案に頼るようになった。

これは何もしなくてもPOSデータが上がってきて、さも仕事をしたような気持ちになってしまうことと、売場の人員配置が減り、仮設検証作業ができなくなっていることが影響している。つまりローコストオペレーションのために現場の人手を減らし、それが売場に手を掛ける余裕を失わせたのだ。

しかも最近はPOSデータも、単純な商品分析から顧客属性と商品の売上動向をクロスさせたID-POSにシフトしてきている。ここまでくれば、ID-POSデータを分析するだけで、仮設-検証がある程度できるようになる。

ビッグデータから問題点を読み解く

こだわりの豆腐その成功事例として有名なのが、コープさっぽろの「豆腐」だ。コープさっぽろのある店舗では、ある時豆腐の品揃えを見直し、売上ランキングでは中位にあった地元の豆腐屋の商品をカット。その後、新MDのもとで豆腐カテゴリーの売上と食品全体の売上がどうなっているかを比較分析した。

すると豆腐の売上ダウン以上に、食品の売上が減少していることがわかった。その要因を探っていくと、地元の豆腐をカットしたあと、それを購入していた組合員が来店しなくなっている。しかも来店しなくなった組合員は、高品質のこだわり商品を購入してくれている優良顧客であったことがわかった。結局コープさっぽろは、至急地元の豆腐屋の商品を復活させることによって、一旦離れていた組合員の呼び戻しに成功、ことなきを得たが、そのままにしていれば、売上、利益を大きく損なう結果となっていたはずだ。

アメリカのディスカウントストアチェーンのターゲットでは、妊娠した女性が無臭ローションやカルシウム、マグネシウムのサプリメントを購入する傾向があることを発見、それらの商品の購入者に、出産関連商品のクーポンを送付することによって妊娠した女性の囲い込みに成功した。

買物カゴの中身から顧客の暮らしを想像する

スーパーで買い物をする女性このようにテクノロジーの進歩が、小売業の販売革新につながっていることは間違いない。最近ではITの知識を持ち、なおかつ小売業の販売メカニズムも知るデータサイエンティストという新しい仕事も話題になっている。日々蓄積されていくPOSデータやID-POSデータのビッグデータを分析し、マーケティングに活用するためには、使い勝手の良いシステム構築と専門家の育成が必要なことはいうまでもない。

しかし、それほど大がかりに構えなくても、お客さまの買物の中身を知ることで、どのような食生活をしているのかはわかるし、そこから品揃えの仮設を組み立てることができる。その情報を取る手法はいたってシンプルだ。どこでもいいからスーパーマーケットへ行き、これはと思うお客さまにつかず離れず同行して、何をどのような手順で購入するかをチェックするだけ。例えば20代女性に絞って5人ほどチェックすれば、若い女性の食生活がなんとなく見えてくる。

このインバスケットリサーチの方法を教えてくれたのも、旧ニッショーストアの井上靖之氏だ。ある時池田店で立ち話をしていたところ、「ちょっと一緒に行ってみようか」ということで、30歳前後の単身と思われる女性について回ったことがある。その時その女性は、夜8時過ぎということもあり、プレーンヨーグルトと食パン、いちごとレタスなどを購入した。その時の井上氏の見立ては「もう夕食はすんでいるみたいだから、今晩食べるとしたらいちごだけ。主力は明日の朝食のようだ。そう考えるとプレーンヨーグルトを品切れさせないことが、この時間帯のスーパーマーケットにとっては重要なポイントになるんです」ということだった。たったサンプル「1」でも、そこから見えてくることは多い。

苺とヨーグルトスーパーマーケットにとって、インバスケットリサーチを上手に活用できれば、さまざまなことが見えてくる。例えばピークタイムの夕方5時から6時までの1時間、店長、副店長、チーフがローテーションを組んでサッカーサービスを行えば、感謝されつつ顧客が何を買ってくれているのか把握できる。チラシ特売商品や月間奉仕品を頭に入れておけば、価格で売れている商品もわかるし、自店のロングセラー商品や直近でヒットの兆しが出てきた商品も見えてくる。そうなると次週以降、どのような販促を打てばいいかという先をにらんだ視点を鍛えることもできる。

本部のバイヤーもメーカーの担当者と商談するだけではなく、サッカーサービスで顧客がどんな商品を購入しているか実感できれば、担当する商品分野の次の組み立てアイデアが出てくるはずだ。ID-POSデータを見れば、顧客の購入実態はトータルにわかるが、売場やレジでお客さまの顔を見つつ実感を得るほうが、具体的なアクションにつながる可能性が大きい。

執筆:山口 拓二

第7回<予定>「カテゴリーコンストラクションとカテゴリーマネジメント」

30〜40代女性の生活を見える化!「食トレ研究」2017年の生活者の食ニーズ
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【スーパーマーケットのマーケティング事始 第5回】スーパーマーケットの新規需要開発の方向性

惣菜・デリが生鮮食品の売上を侵食

コンビニデリのように新しい食シーンを開拓できなかったスーパーマーケットの惣菜だが、現状では否応なしに惣菜を強化しなければならなくなっている。その要因の一つは、いうまでもなく高齢化の進展だ。これまでスーパーの売上を支えてくれた女性も、高齢化とともに家庭で調理する機会も減る。なぜなら子どもが独立して、夫婦あるいは自分一人だけになれば、ごく普通の量を調理しても、持てあましてしまうことが多いからだ。例えば常備菜の側面もある“きんぴらごぼう“も大量につくってしまうと、一人暮らしの高齢者は、きんぴらごぼうを何日も食べ続けなければならない事態となる。

高齢者の買物また高齢化による気力・体力の衰えも手づくり調理を阻害する大きな要因になる。加齢とともに筋力が落ち、台所に立って調理することが苦痛になる。それでも食べてくれる子どもや孫でもいれば、まだ調理しようという気になるが、一人暮らしであればつい出来あいの弁当や惣菜を買ってしまいがち。つまりスーパーにとって、これまで生鮮食品を購入してくれていた顧客が加齢とともに惣菜やパックの調理済み商品にシフト、買物の中身が大きく変わりつつあるのだ。

ただシニア層の女性は、自分の成長期に登場したスーパーマーケットへの親和性が高いことと、健康のためにシニアカートを押してでも、歩いて買物に行きたいと考える人が多く、都市部のスーパーでは、いまもなお主力客層となっている。

スーパーマーケットが生鮮食品や日配だけでは立ち行かなくなっている、もう一つの要因は30代、40代の若いファミリーも共働き世帯が増え、食事を全て手づくりする主婦が少なくなっていることがある。逆にいえば最近の主婦は、サラダやみそ汁だけは手づくりするけれど、メーンディッシュやサブディッシュは惣菜で済ませたり、生鮮食品を購入する場合も刺身や野菜炒めセットにするなど、「家庭の食事は手づくりしなければならない」という縛りから自由になっている。それだけにいまのスーパーマーケットは、惣菜はいうに及ばず、生鮮食品でも手を掛けずすぐ食べられる即食商品が充実していなければ、利用者の食生活に対応できなくなっている。

二極化するスーパーマーケットの惣菜売場

この結果、最近のスーパーの惣菜は二極化の傾向が顕著になってきた。一つは和惣菜、揚げ物、弁当、寿司など一通りの商品は揃っているが、メニューは定番商品中心で、いつ来店してもほとんど変わり映えしない店舗。これはこれで定番の惣菜をあてにしている顧客にとっては重要なポイントだ。しかし、いつ来店しても同じメニューしかないとなれば、惣菜でも食卓に変化をつけたいと考えている多くの顧客にとっては「使えないスーパー」ということになる。必然的に惣菜の売上構成比は7~8%にとどまり、店舗全体の売上増にはつながらない。

惣菜・デリもう一つのパターンは、商品の見せ方をセンスアップしたうえで、商品開発力を強化して品揃えの幅を広げた店舗だ。取り扱いメニュー数はかなりの数に上るし、なおかつ季節性や流行、食材の旬に合わせたメニューの切り替えが頻繁に行われ、顧客の食事のバラエティニーズに対応している。

この惣菜提供パターンで重要なことは、売場のスペースを、惣菜と併設のベーカリー売場から割り振り、それから逆算して青果、鮮魚、精肉、和洋日配などの売場を組み立てていること。つまり、いまスーパーが顧客の食生活の満足度を上げるためには、惣菜の売場スペースを十分に取り、揚げ物、グリルメニュー、焼き鳥、にぎり寿司、弁当、おにぎり、サラダ、焼き立てピザなどメーンディッシュ、サブディッシュを過不足なく品揃えする必要があるということだ。

こうした新しい食生活を提案できる惣菜売場を組み立て、定番商品に新商品をプラスして提案力を上げれば、デパ地下の惣菜に流れていたニーズを一部取り返すことも可能。ヤオコー、阪急オアシス、ライフストアなど惣菜が好調なSMチェーンは、惣菜だけではなく、ちょっとおしゃれなデリカテッセン需要もキャッチ、惣菜の売上構成比を13%強にまで引き上げている。しかもこれらのチェーンの惣菜の粗利益率は非常に高く、人件費コストは大きいが利益面でも貢献度が高い。

新たな食シーンの開発で売上アップを図る

しかし、一定の成功を収めているように見える、最近のスーパーの惣菜だが、コンビニ惣菜との決定的な違いがある。それはコンビニが中食市場を開拓したような新市場の開拓がスーパーの惣菜には出来ていないこと。ヤオコーや阪急オアシス、ライフストアのように他業態の売上を一部奪取しているチェーンもあるが、これも決して新市場開発というわけではない。

イートインコーナーそのためここへきてSMチェーン各社では、弁当や惣菜あるいはスイーツを食べることのできるイートインコーナーを設置する店舗が増えている。それにより一部の店舗では、昼食時間帯に周辺の事業所に勤める女性や自動車整備工場などで働く男性がパスタとカップスープ、弁当とカップみそ汁などを購入、イートインコーナーで昼食を摂るケースが増えている。仮に100人のお客さまが500円の昼食代を払ってくれれば、5万円の売上がプラスされる。平日20日として100万円の売上増になる。

しかもこれは、これまでスーパーにはほとんど縁のなかった人を顧客化できるという意味で効果は大きい。周辺事業所で働く男性は、結婚していれば奥さんを通じてスーパーとは接点を持っているが、本人は直接縁はなかったはず。たとえ500円の昼食だけであっても、一度スーパーと接点ができれば、お酒やおつまみに拡大、ロイヤルユーザー化につながる可能性もある。

ただ現実的には、スーパーのイートインコーナーは、高齢者や主婦が買物の際に休憩に利用されるのがもっぱらで、惣菜やベーカリーによる中食需要開拓になっているケースはまだ少ない。それはスーパーのイートインコーナーは、このように活用できるというイメージが確立されていないことが大きい。そういう点でいえば、大手量販店チェーンや大手SMチェーンが、イートインコーナーでのシニアの朝食シーンや働く男性の昼食シーンをアピール、スーパーマーケットはこんな使い方もできるということを消費者に伝えたい。セブン-イレブンがセブンプレミアムのパック惣菜を扱い始めた時、初老の夫婦のお昼のシーンをテーマとしたテレビCMを大量投入し、一気にパック惣菜の使い勝手の良さを浸透させたことは記憶に新しい。単に売場に手を入れるだけではなく、それが具体的にどのように自分たちの暮らしに活用できるかというイメージを伝えることは想像以上に重要なポイントだ。

惣菜・デリを軸にしたスーパーマーケットの需要開発

執筆:山口 拓二

第6回<予定>「ID-POSとインバスケットリサーチ」

30〜40代女性の生活を見える化!「食トレ研究」2017年の生活者の食ニーズ
食のトレンド文庫「スーパーマーケットの食トレンド」むかしはいまの物語

【スーパーマーケットのマーケティング事始 第4回】「おかず屋」「ハーフデリ」「惣菜」

30年ほど前までは惣菜は“ためらい買い“の対象

スーパーマーケット惣菜日本惣菜協会の集計によると、2014年の惣菜市場は初めて9兆円を突破、縮小傾向の外食市場と好対照をなしている。しかし、惣菜やデリは昔から売れていたように思われがちだが、ほんの30年ほど前までは食生活のワキ役だった。1980年代後半だったと思うが、当時イトーヨーカ堂のドル箱店舗だった津田沼店で、絵に描いたような惣菜の「ためらい買い」を目撃したことがある。30代後半の主婦が、惣菜(たぶんカキフライのような揚げ物だったように思う)を買物カゴに入れたり、売場に戻したりを繰り返し、購入までに10分くらいかかった。

惣菜一つを買うのに、ここまでためらったのは、当時の惣菜についての意識を理解する必要がある。1980年代後半では、まだ手づくりメニューが「善」、惣菜を購入しておかずにすることは「悪」という意識が強かった。したがって、惣菜のカキフライと千切りキャベツを盛り付けて食卓に出せば、子供たちから「お母さん手抜き!」と揶揄されるのではないかといった強迫観念があったのだ。

「今晩のおかず屋」をコンセプトにしていた関西スーパーマーケット

惣菜に対する消費者の意識がそのレベルにあったため、1980年代のスーパーマーケットの惣菜のクォリティは低く、売上も小さかった。日本のスーパーの鮮度管理、品質管理の原型をつくり上げた関西スーパーマーケットのように、1980年代後半まで惣菜を扱っていなかったチェーンもあった。同社の販売コンセプトは「今晩のおかず屋」であり、ここでいう「おかず」のなかには惣菜は入っていなかった。つまり、このコンセプトをつくった同社の実質的創業者である北野祐次氏にとっては、家庭で主婦が手づくりした料理こそが「おかず」であり、スーパーはおかずをつくる生鮮素材や日配などを提供すればいいと考えたのだ。

これは1980年代までは必ずしも、おかしなことではない。日本では1980年代までは、専業主婦世帯が共働き世帯を上回っており、年齢階級別就業率は1987年で35~39歳が41.6%、40~44歳が47.0%、45~49歳45.0%、50~54歳37.5%といずれも50%に届いていない。それから30年弱経った2015年にはいずれの年齢階級でも70%を超えており、現在とは社会状況は全く違う。そのため家庭では、お母さんが手づくりした料理をできるだけ家族揃って食べてほしいという関西スーパーマーケットの思いは、ある意味で正論だった。ただ時代の波には抗しきれず、同社も1980年代末には惣菜部門を創設することになった。

1980年代は時代の分水嶺

そういう意味では、1980年代は日本人の食スタイルにとっても、食素材を提供するスーパーマーケットにとっても「分水嶺」だったといえる。そのような時代に「惣菜の食生活への浸透」と「ためらい購入」の綱引きをブレイクスルーするために、ニッショーストアが打ち出したのが「ハーフデリ」という概念だ。これは文字通り購入したデリ(惣菜)を家庭で一手間かけて完成させることで、惣菜を買ったうしろめたさを払拭させることを狙ったもの。ニッショーストアで「ハーフデリ」コーナーを見た時には「この手があったか」と膝を打ったことを憶えている。

その後この「ハーフデリ」が精肉部門で、衣をつけるところまで調理し、あとは家庭で揚げるだけにした“とんかつ”や細切りした牛肉とピーマンをセットにした“チンジャオロースー”セットなどへ形を変えてつながっていった。そしてニッショーストアを吸収合併した阪急オアシスや大阪いずみ市民生協の一部店舗では、いまでも「ハーフデリ」コーナーが展開されている。しかし、日本人の食意識は一気に変化し「ハーフデリ」がスーパーマーケットの惣菜の標準スタイルになることはなかった。

新しい食シーンを提示できなかったスーパーマーケットの惣菜

惣菜(デリ)の業態別ポジショニング

惣菜(デリ)の業態別ポジショニング

1990年代に入ると、バブル崩壊後の失われた20年のなかで世帯主の所得が漸減傾向になり、家計所得補填のために働きに出る主婦が増加する。また家族が別々の時間に食事を摂る個食が一般化したことで、家庭で一手間かけてメニューを完成させる「ハーフデリ」は、ミールソリューションとしての魅力が色あせていく。スーパーマーケットとしても、先行するコンビニや後ろから迫るデパ地下惣菜に対抗するうえでは「ハーフデリ」の概念は迂遠すぎた。

見方を変えればスーパーの惣菜のウイークポイントは、コンビニやデパ地下のような新しい食シーンを開拓できなかったことにある。つまりコンビニの場合はサラリーマンやOLの昼食に代表される「中食」という食シーンを掘り起こすことができたために、大きな新市場を開拓することができた。デパ地下の惣菜も「ハレの日」の食として受け入れられた結果、一定の売上ボリュームを確保することに成功した。

それに対してスーパーの惣菜は、自店内競合という自己矛盾を内在していたためにコンビニのような成長エンジンとはならなかった。例えば惣菜のロースカツが売れれば、豚ロースの切り身はいうまでもなく、パン粉や小麦粉、卵などの需要が減少する。最近伸びている焼き魚や煮魚でも同じことが言える。つまり新しい食シーンを提示できないまま、商品強化だけに走ったスーパーの惣菜は、生鮮食品や調味料とトレードオフの関係にあるため、惣菜が伸びても全体の売上はアップしないという自己矛盾を解消できなかったのだ。

執筆:山口 拓二

第5回<予定>「スーパーマーケットの新規需要開発の方向性」

30〜40代女性の生活を見える化!「食トレ研究」2017年の生活者の食ニーズ