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『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』食のトレンドを知るためのヒントがつまっているよ

【発売開始】『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』・出版記念セミナー開催報告

当サイトで連載を重ねてきた「食のトレンドレポート」の最も大きなテーマである〈食べたい力〉。この度〈食べたい力〉をテーマにした単行本『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』がAmazonにて販売開始となりました。写真やイラストをたくさん使ったどんな方にもお読みいただきやすいレイアウトになっています。食のトレンドレポートをお読みになったことのある方もない方も、食に関するお仕事に携わっている方もそうでない方も、この機会にぜひお読みいただければ幸いです。

書籍情報

『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』食べたい力 – 超シニア社会を生きる知恵 –
辻中美緒(著)、辻中俊樹(著)
単行本(ソフトカバー)・B5版・156ページ
出版社:アートダイジェスト
発売日:2017/3/20
¥1,620(税込)

内容紹介

『食べたい力(ヂカラ)』それは超シニア社会を生きる知恵!
世田谷のごはん屋さんで生まれたこの一皿に、〈食べたい力〉の全てがあります。
高級食材は使わない、繰返し食べても心にも身体にも優しい、おまけに財布にも優しい料理の本。

著者

【辻中美緒】ABCクッキングスタジオ講師歴3年。2011年4月ロカンダ世田谷をopenしオーナーシェフ。2016年4月より料理教室「オープンキッチン」を月1回開催。
【辻中俊樹】昭和28年3月生まれ。青山学院大学文学部卒。日本能率協会などで雑誌編集者を経て、1982年ネクスト・ネットワークを設立。現在はTRFグループ代表。「生活日記」方式によるリサーチネットワークを確立。近著に「マーケティングの嘘」(新潮新書)など編集書は多数。

出版記念セミナー「〈食べたい力〉をマーケティングする」』を開催いたしました

『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』・出版記念セミナー2017年3月10日(金)に『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』出版記念セミナーとして、食のトレンド主催のイベント第一弾『食のトレンドマーケティングセミナー「〈食べたい力〉をマーケティングする」』を開催いたしました。セミナーの詳細はこちら

限定60席のチケットは早々に完売、会場に多くのお客さまがご来場されアットホームなセミナーとなりました。セミナー後にご用意させていただきました懇親会では著者でロカンダ世田谷フードコーディネーターの辻中美緒が用意したオードブルを中心に、山口県の銘酒「獺祭」なども登場し大変盛況となりました。皆さまのご協力に感謝申し上げます。

『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』・出版記念セミナー

食シーンを知るための手法と
食のトレンドについて語る著者・辻中俊樹


『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』・出版記念セミナー

懇親会ではご参加者様同士の
交流もあり有意義な時間でした


『-超シニア社会を生きる知恵-〈食べたい力〉』・出版記念セミナー

アットホームな雰囲気でした!
前列右から5人目が著者・辻中美緒


<食べたい力>オードブル

辻中美緒が当日仕込んだ
オードブルがサプライズで登場

「食のトレンド」では、今後もこのような場を作っていけたらと考えておりますのでご期待ください。まずは本書をお読みいただければ幸いです。

食のトレンド文庫「スーパーマーケットの食トレンド」むかしはいまの物語

【スーパーマーケットのマーケティング事始 第13回】
進化するSMのマーチャンダイジングー「2:6:2の原則」

画一的オペレーションからの脱却

スーパーマーケットの売場最近スーパーマーケット業界では、チェーンストアにもかかわらず「個店経営」とか店長への権限移譲の議論がかまびすしい。とくに展開エリアが広域にわたる大手チェーンほどその傾向が顕著だ。GMS再生を地域対応の品揃え、およびライフスタイル提案に賭けているイオンの「イオンスタイル」への転換がその代表例かもしれない。ただこれはいまに始まったことではなく、売上不振になるたびに唱えられてきたスローガンでもある。イトーヨーカ堂でも、地域ニーズへの対応に何度もチャレンジし、それによって業績を回復させた店舗もあったが抜本的な解決とはならず、ついに40店舗の大量閉店計画を打ち出すに至った。

この個店経営へのシフトで大事なことは、本当の意味での品揃えや店舗運営の標準化ができていなければ、いくら権限を店長に委譲しても成果は上がらないということ。自社のオペレーションレベルが「標準化」ではなく「画一化」だったからこそ顧客の支持を得られていなかったにもかかわらず、標準化できていると思い込んでいたところに大きな問題があったのだ。予算措置なしに掛け声だけ現場の店長の裁量権を増やしても、店長の負担が増すだけで、業績が改善するはずがない。

「3S」が日本の小売業を進化させた

戦後の日本の小売業の進歩をリードしたのが組織小売業(チェーンストア)であることは誰しも異論はないだろう。そして小売業の革新の支柱となったのが「3S」だ。これは標準化(standardization)、単純化(simplification)、専門化(specialization)の頭文字からできた言葉。小売業の業務を「3S」を軸に体系化することで、誰でも少し研修を受ければ小売業で働けるようになり、チエーンオペレーションが可能になった。今では従業員の80%近くが非正規雇用のパートタイマーでも店舗を運営できるようになっているし、セブンーイレブンのように、国内だけで1万9,166店(2017年11月現在)も展開するチェーンも存在する。

なかにはベビー用品専門店の西松屋のように、店舗の売場面積を600m²にし、レイアウトも一定にすることで、少人数でオペレーションできる仕組みを構築、高収益企業になったチェーンもある。レイアウトが標準化されていれば、物流センターで商品を売場ごとにピッキングし、それをコンテナにいれて配送すれば、店舗従業員の動線は最短になり、売場の生産性は最大化する。しかし、西松屋やしまむらのように、売場レイアウトまで標準化できているチェーンストアは少数派であり、敷地の形状に応じてレイアウトが変わるSMチェーンのほうが日本では一般的だ。それだけに日本のSMチェーンの生産性は低い。

スーパーマーケットの売場もちろんSMチェーンも「3S」を取り込むことによって、チェーンストアとして残ったことは間違いない。SMチェーンがオペレーションを標準化する際、まず最初に手をつけたのが、用語の意味の統一であったことは有名な話だ。これはそれぞれの用語の意味を共有していなければ、仕事上の指示はもちろん、従業員間のコミュニケーションが成立しないからだ。

また日本でSM業態の構築を主導したオール日本スーパーマーケット協会(AJS)では、生鮮食品や惣菜の商品化作業を売場背後のバックヤードで行う450坪ストアの概念を打ち出し、オペレーションに必要な冷蔵ショーケースやカートラックをはじめとするマテリアルを開発、いまやそれが業界標準となっている。今では600坪、800坪の大型スーパーマーケットが登場、450坪ストアはSM業態の主流ではなくなってきたが、450坪ストアがスーパーの経営上、最も効率のいい広さであることは変わらない。しかし、国土面積の狭い日本では、450坪であれ、600坪であれ売場面積を標準化しても、レイアウトまではパターン化できなかった。

「2:6:2の原則」で全国チェーンとの差別化を図る

最近は消費者の節約意識の定着もあって小売業の売上は全般的に厳しい推移が続いている。これは必需性の高い食品主体のスーパーマーケットといえども例外ではない。そのような状況のなか、ここへきて注目を集めているのが全国チェーンの個店オペレーションであり、ローカルチェーンの地域ニーズへの対応である。南北に長い日本列島は、食材にしろ、味付けにしろ地域特性が色濃く残っており、画一的な品揃えでは顧客満足度は上がらないからだ。

そのため、いま全国各地でさまざまな取り組みが進んでいる。例えば島根県益田市のローカルSMチェーンであるキヌヤでは、品揃えの基本に「2:6:2の原則」を据え、イオンリテイルやイズミとの差別化を図っている。「2:6:2の原則」の「2」はプライベートブランド(PB=同社はCGCに加盟しているので、CGCブランドの商品)、「6」はナショナルブランド(NB)、残る「2」はローカルブランド(LB)である。つまり同社ではPB2割、NB6割、LB2割を目安に売場の品揃えを組み立てているのだ。

「2:6:2の原則」の構造キヌヤでは、牛肉は地元の松永牧場のミートを独占的に扱っており、同社の看板商品ともなっている。スイーツでは地元の製菓店や酪農家の工房でつくった、キヌヤでしか購入できない商品が並んでいる。また青果売場では、地元の伝統野菜を含む農産物直売コーナーに広いスペースを取り、青果市場仕入れの青果とのダブル展開を行っているし、惣菜売場では地元の味付けにこだわった厚焼きたまごや唐揚げ、生寿司などを強化して地元ニーズに対応している。これら惣菜のオリジナル商品まで含めれば、キヌヤのLBの比率は2割を超えている可能性もある。

このようなローカルブランド重視の姿勢はキヌヤだけに限らない。売上ではなく内容で日本一のスーパーマーケットといわれるヨークベニマルでも、各店舗の社員およびパートタイマーが足元の製麺所や豆腐屋、ベーカリーなどを回り、その地域ならではの商品を探し当て、ローカル商品の開発を行っている。同社の店舗では、こうして開発した商品を「私が探してきました」とパートタイマーの名前を入れてPOPで紹介することで、顧客と商品との接点拡大を図っている。

地産地消でお金の流れを変える

スーパーマーケットの売場地方のスーパーマーケットによるローカルブランドの販売は、単に売れる商品が変わるだけではない効果も期待できる。その最大のポイントは、ローカルスーパーと地方のメーカーが協力してローカルブランドを育成することで、お金の流れが変わる可能性があること。2014年の「商業統計」では、島根県の大型スーパー、食品スーパーの合計販売額は1,167億円になっている。仮にこのうちの2割がローカルブランドに置き換われば、230億円強が地元メーカーの売上となって落ち、それが新たな雇用を生み、消費が増えて地域経済が活性化する。これはNB、PBがいくら売れても最終的に東京や大阪など大都市に本社のあるメーカーに、その成果が吸い上げられるのとは大きな違いだ。

つまり、ローカルスーパーが地元メーカーや生産者とコラボしてローカルブランドを育成することで、地方のお金は地方で回るようになる。そしてお金が回るようになれば、新しい雇用も生まれ、自然豊かな環境で子どもを育てたいという人を中心に大都市からのUターン、Iターンも増え、地方の人口減少の流れに歯止めがかかる可能性がある。そういう意味では、キヌヤが基本に据えている「2:6:2の原則」は、地域ニーズへの対応というだけにとどまらず、東京への一極集中の流れに棹さす可能性もある。

執筆:山口 拓二

第14回<予定>「私的 日本のディスカウント論」

30〜40代女性の生活を見える化!「食トレ研究」2017年の生活者の食ニーズ
食のトレンド文庫「スーパーマーケットの食トレンド」むかしはいまの物語

【スーパーマーケットのマーケティング事始 第12回】日本人の生活変化と「中食」の誕生

「中食」とは何か

いまやすっかり市民権を得た「中食」。「内食」「外食」に対置する言葉としてマスメディアに登場することも増えた。その内容について朝日新聞の「知恵蔵」では、「総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べること」としている。ちなみに同じ説明のなかで「外食」は「レストランなどの飲食店で料理を食べること」、「内食」は「手づくりの家庭料理を自宅で食べること」と定義されている。

家庭のキッチン

この説明を読んで感じることは「内食」「外食」「中食」を過去の常識でステレオタイプにとらえようとしているなということ。まず「内食」は手づくりの家庭料理でなければならないというのは、いかにも古い。したがって総菜やコンビニ弁当が売上を伸ばすなかで、それらを自宅で食べることを「中食」にしている。つまり料理は手づくりが善という、固定概念から抜け出せていない。

そこでもう少し明確にするため、「中食」は「スーパーやコンビニ、飲食店でつくっている弁当や総菜を購入し、購入店以外で食べること」、「内食」は「食材を自分で調理し食べること」、「外食」は「家の外で食事すること」と場所を特定しない形で説明しているサイトもある。ただいずれの説明を見ても「内食」「外食」「中食」がいま一つよくわからず、ややもどかしい感じがすることも事実である。

食シーンとしての「中食」

ではどのように考えれば「中食」がもっとすっきり整理できるのだろうか。結論的にいえば、調理をする人(店)ではなく、食べるシーンで切り分けたほうが、納得性が高くなるような気がする。

そこで筆者が初めて「中食」を意識した時のことに触れてみたい。1982年当時、私たちは業務の一つとして15~25歳のヤング層50人を対象とした「生活カレンダー」調査を行っていた。これは1日24時間をヨコ軸に取り、タテ軸に「行動」「食生活」「ファッション」「気持ち」などで切った生活行動を記入してもらう定性調査だ。したがって記入しているのがたった一人であっても、そのことが重要な兆しと思われれば、そこから未来が見えるとクライアントに力説していた。

大勢の人々

しかし、1982年に始まった「生活カレンダー」調査も3年めを迎えた1984年になって、本筋ではないかもしれないが、一度定量的な整理もしてみようということになった。調査は1カ月のうちの1週間を記入してもらい、それが1年間(12か月)続く。すると1人のモニターの食機会は間食も含めれば1人当たり、@3.5回×7日×12か月で294回。50人で14,700回になる。そこで、これをとりあえず「家で食べているのか」「外食店舗で食べているのか」「学校や職場で食べているのか」で分類していった。その作業のなかで驚いたのが、内食や外食でない、その他の食シーンの多さだった。ファストフードでテイクアウトしたハンバーガーを公園で食べたり、学習塾の帰りにコンビニでカニパンを買って店の前で食べたりするシーンが膨大にあり、とても内食と外食の二元論では彼らの食生活は語りつくせないと思った。

それがいまから33年ほど前の1984年頃のこと。当時それほど明確な意識はなかったが、内食でもない、外食でもない食シーンがこんなにあると、とても無視できないから仮に「中食」グループにくくって、食シーンを分析してみようと考えたのだ。その後日本人の食に、外食のフードサービスだけではなく、コンビニやスーパーの総菜、食品メーカーのレトルト食品やレンジアップ商品など即食系食品が浸透、「中食」も市民権を得たが、その意味するところは、筆者が「中食」に出会った33年前とは大きな変質を遂げていたことになる。

食事の個食化や生活の24時間化が「中食」シーンを拡大

ではなぜ、わずかな間にこれほど「中食」が増えたのだろうか。これまで触れてきたように、すでに1980年代初頭には「中食」は無視できないほどに多くなっていたが、その後の30年余で「中食」の増加トレンドはさらに加速した。ちなみにこの時期、オイルショックで大きく跳ね上がった日本人の所得水準は、1980年後半のバブル経済とその崩壊、失われた20年を経て所得がシュリンク、長期にわたってトレンド的にはデフレ経済が続いている。

コンビニエンスストア店内

そのような時代状況のなかで、日本人の食シーンで増えたのが「個食」だ。結婚したばかりの夫婦でいえば、まず夫が仕事が忙しくなって平日は帰りが遅くなり、外食か家で食べても夜10時、11時に1人での食事になり、妻と子どもは母子家庭状態になる。子どもが大きくなると、小学校高学年からは塾通いが始まるため、子どもはおやつを食べると塾に向かい、帰りは夜10時頃になる。そうなると3人の家族が全てバラバラに夕食を食べる「個食」化が本格化する。

リーマンショックを機に、サラリーマンの帰宅時間が多少早くなり、家族揃って夕食を食べる機会が増えているともいわれているが、それが主流になっているとはとても思えない。最近では人手不足が続く中、1億総活躍社会の掛け声のもと、女性の就業が増え、今度は誰が夕食を用意するかという別の問題も発生してきている。

もう一つ「中食」が増えた要因は、自宅でもない、外食の店舗でもない場所で食事を摂れるインフラが整ってきたことが考えられる。1970年代後半から80年代初頭にかけては、持ち帰り弁当店やコンビニ、さらにはテイクアウトできるファストフード店舗が爆発的に増えた時期に当たる。その一例を挙げれば、79年2月期に1,094店舗だったコンビニの店舗数は、4年後の83年2月期には4,601店舗まで増加、その後も急速に店舗数を増やしていく。

そしてこのような「中食」に対応できる店舗の増加は、日本人の暮らしを確実に24時間化していく。24時間営業のファミリーレストランに夜中でも若者が集まり、真夜中にコンビニで弁当やサンドイッチを買い、夕食か夜食かわからない食事を職場で食べるサラリーマンも増えた。このような生活がまず大都市で浸透し、少しずつ地方にも広がっていった。逆にいえば、日本人の生活が24時間化していったからこそ「中食」シーンも増えていった側面もある。

「中食」をアクションプランにする方法

「中食」の増加という事態を受けて、新しいビジネス開発の事例も出てきた。コンビニでは北海道のセコマ(旧セイコーマート)がイートインコーナーを設けた店舗を標準フォーマットにするようになったし、スーパーマーケットでも新店、改装店舗を中心にイートインコーナーのある店舗が普通になってきた。これはイートインスペースを設けることで、これまで外食に流れていた顧客のうち、何割かでも昼食時などに集客できれば、新規需要が開発できると見込んでいるからだ。事実スーパーでは、これまでほとんど来店していなかった店舗周辺の職場に勤めている男性が、惣菜売場の弁当でお昼を済ませるなど新しい動きが出てきている。

イートインコーナー

ただ「中食」から新しいビジネス開発をするためには、その定義がぶれていては、発想はよくてもヒットにつながらないこともある。やはり「内食」「外食」「中食」を分類するには、誰が調理したかではなく、どこで食べたかということで分けたほうがいいのではないかと思う。これまでは総菜や炊飯したごはんを買って帰り自宅で食べると、手づくりしたわけではないから「中食」としたり、逆に愛妻弁当は職場で食べても「内食」とされることもあった。

しかし、最近は手づくりの食事と総菜をテイクアウトした食事の差が曖昧になってきている。例えばスーパーで買った刺身の盛り合わせを盛り付け直して食卓に出し、炊きたてのごはんとインスタントみそ汁で食事したとする。主婦の感覚からすれば、刺身を自分のセンスで盛り付け直したから手づくりしたということかもしれないが、これでは総菜を買って帰って盛り付けたのとなんら変わらない。それが一方が「内食」で一方が「中食」となったのでは、販売戦略として「中食」強化を掲げてもブレが大きすぎて戦略が戦略として機能しない。

したがって「内食」「外食」「中食」を図のようにポジショニングするのも一つの方法ではなかろうか。

「内食」「外食」「中食」のポジショニングまず「外食」はフードサービス業の店内で食べた食事だから明確。「内食」は主婦を中心に家族の誰かが手づくりして自宅で食べる食事だけではなく、手づくりメニューと外部サービスの総菜などを組み合わせた食事、総菜をテイクアウトした食事も自宅で食べるから「内食」とすればすっきりする。長男の入学祝いに寿司を出前で取って食べても、自宅で食べるのだから「内食」でいいはずだ。

逆にお母さんの手づくり弁当を学校で食べれば「中食」でいいと思うし、コンビニ弁当や総菜、ファストフードのハンバーガーなどを学校や職場、公園で食べるのも「中食」。スーパーマーケットの総菜をイートインコーナーで食べるのも「中食」でいいはずだ。

そのように考えると、スーパーのイートインコーナーは画期的だったことがわかる。増加する「中食」需要に対応できる場を提供することによって、新たな食シーン開発に乗り出すことができたのだ。つまり従来は、「内食」偏重だったスーパーマーケットの守備範囲は、イートインコーナーによって大きく変わる可能性を秘めている。

執筆:山口 拓二

第13回<予定>「ローカルスーパーのMD『2:6:2の原則』」

30〜40代女性の生活を見える化!「食トレ研究」2017年の生活者の食ニーズ