食のトレンド最新動向 2015年11月動向 後編 | 「白菜」パワーをしっかり把握する!

「白菜」「里芋」がスイッチを押す!

里芋の芋汁

10月に強く<気になる>スイッチを押しているのが「白菜」と「里芋」である。

2015年10月の<気になる>スイッチの動向の後編である。前回述べたように、この時期の<気になる>スイッチを強く押すテーマはまずは「栗」、「さつまいも」であった。

その季節ならではの、いわゆる旬の素材が圧倒的に<気になる>のだ。これらの素材は群を抜いて上位にランキングされてくる。「栗」「栗ごはん」は9月では1、2位だったし、10月では「さつまいも」「スイートポテト」は3、4位というように、万人が(限られたセグメントの中の)意識することになるものである。

ただし、一気にピークは到来するけれども、潮が引いていくのも極めて早い。10月に一気に波が来るが11月になればもう<気になる>スイッチはほとんど押されなくなるのだ。「栗」よりも「さつまいも」は、やや息が長いようで10月をトップシーズンにして、9、10、11月の3ヶ月くらいは持ちこたえている。

「栗」は別として、実際は「さつまいも」は通年で食べられている訳だし、12月以降は食卓から消え去る訳ではないのだ。ここのポイントをよくみておく必要がある。

さて、「栗」、「さつまいも」と並んで10月に強く<気になる>スイッチを押しているのが「白菜」と「里芋」である。10月では「白菜」が5位、「里芋」が7位ということになっている。すでに9月には2つとも20位台に顔を出しており、いよいよ<気になる>スイッチを強く押し始めたということだ。

ロングパワーを持つ「白菜」

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「白菜」は<気になる>スイッチを押す頻度が多い上に、それが息長く続くロングパワータイプである。

秋の始まりと共にこの素材たちが登場し、秋の深まりに伴なってさらに<気になる>頻度が増え、冬の到来、深まりが強くなればなるほど意識されていくことになる。恐らく11月のランキングでは「白菜」がトップになるだろうと予測している。因みに去年の11月は「白菜」が堂々の1位だった。この「白菜」の特徴は、9月に登場し1月くらいまでの半年近い間、ずっと<気になる>スイッチを息長く押し続けるのである。

去年の動向を振り返ってみると10、11、12、1月の4ヶ月間にわたって、ずっとランキングのベスト10の上位を維持し続けていた。<気になる>スイッチを押す頻度も圧倒的に多い上に、それが息長く続く、ロングパワータイプなのである。トレンドレポート本編でも述べてはいるが、12月というシーズンはとにかく他の11ヶ月とは全く異なった旬、催事テーマが<気になる>ことになる。クリスマス関連に勝てるものはまずない。そんな異常な12月ですら、去年でみれば「白菜」は4位をキープしていたし、続いてお正月などで異常を起こしやすい1月でも6位にランキングされていた。

こんな特徴を持った野菜素材は他には全くないといっていいのだ。因みに10月では大きくランキングを上げた「里芋」が、11月にはまだそれなりのポジションをキープするが、それ以降は圏外に姿を消すことになる。今年の11月もたぶんそうなっているのではないだろうか。

その意味では「栗」「さつまいも」と似た傾向である。ただ、12、1月に「里芋」がまったく食べられなくなってしまったということにはならない。「白菜」という素材は、旬の意識が極めて強い上に、その息が長いということに着目しておくべきなのである。

「白菜」を「鍋」素材から開放できるか?!

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「白菜」といえば、最も相性のいいメニューは「鍋」ということになるが、本当にそうなのだろうか。

加えて、毎年この傾向が再来し続いているということでいえば“不易”なのである。単なる一過性のブームでもなく、旬、季節の到来の影響を強く受けて<気になる>スイッチを強く押す上、それがロングライフであること。こんな「白菜」は、ある意味大きなチャンスを生みだしているのだ。

まずは「白菜」といえば、最も相性のいいメニューは「鍋」ということになるが、本当にそうなのだろうか。もちろん、<気になる>スイッチの動向をみていると、10、11月あたりで「鍋」というテーマもまた、<気になる>スイッチを押していることがわかる。ただし、群を抜いて上位に上がってくる訳ではなく、12、1月になるとあえなくランキング外に姿を消してしまう。

私たちの視点でみれば、「鍋」はもっと通年化して食卓に登場しているのが実態である。もちろん、秋が深まってくることでより「鍋」を意識し、登場頻度も上がってくることにはなる。ただ、「鍋」というテーマ自身が<気になる>のは11月一杯ということに注意しておかなくてはならない。

私たちの感じ方でいえば、「白菜」を冬が近づいた季節ならではの、「鍋」の基本素材に閉じこめておくことは、生活者の食の実感、あるいは困り事に全くあっていないということになる。むしろ、「白菜」を「鍋」からもっと開放することこそを生活者は望んでいるといえよう。

古来ならば、旬の「白菜」は漬け物にされて保存されていったのだろうが、現代の都会ではそれは無理な相談である。トレンドレポート本編でも述べることになるが、「白菜」をうまく「段取り」をし「一工夫」する知恵こそが望まれている。

執筆:辻中 俊樹(マーケティングプロデューサー)

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