2015年6月の食のトレンド結果と2016年のトレンド予測

レシピサイトのトレンドや生活カレンダー調査、インターネット検索エンジンの動向などを複合的に分析した、2015年6月の食のトレンドの注目キーワードを期間限定にて公開しています。2015年5月に公開した事前予測は2015年6月の食のトレンド予測、2014年11月に公開した【2013年5〜6月】のトレンドも合わせてご覧ください。

しそジュース、おにぎらず、パンケーキ、七夕、トマト

a0027_002305_mしそジュースは前年同期比で人気度は減少しましたが、しそはクックパッドの「大葉にんにく醤油」や子育て世代のtwitterコミュニティでもヒットしている(詳細はこちら)要注目の素材で、2016年も期待できます。おにぎらずの人気度はおにぎりの半分程度のボリュームですが、弁当の需要期の5月を抜けても一定の人気を確保しています。10月に入ってもおにぎりやサンドイッチと連動する兆しがあり、ある程度の弁当需要もキャッチしている実力派といえそうです。「パンケーキ」との同時検索にエッグスンシングスなどハワイアンスタイルのパンケーキが検索されるのに対し、「ホットケーキ」との同時検索ではホットケーキミックスやクッキーなどが出現します。「ホットケーキ」はホットケーキミックスを使ったレシピ群という認識になっていると見られます。豆腐を使ったホットケーキヨーグルトを使ったホットケーキも根強い人気で、ケークサレなど食事系ケーキの伸びにも要注目です。トマトはトマトそうめんやズッキーニやなすと合わせた料理が伸びました。

朝食、卵焼き、ゴーヤチャンプルー、トースト、じゃがいも

a0002_005481_m卵焼きは弁当需要期ピークの4〜5月と比較すると減少しますが、6月も底堅い人気度となっています。ゴーヤチャンプルーは2015年はズッキーニに押されましたが引き続き高い人気となっています。トーストはチーズトースト、ガーリックトースト、ピザトースト、納豆トーストなど種類が豊富で美味しいトーストのレシピを求めています。トーストの食べ方提案には2016年もニーズがあります。じゃがいもはポテトサラダや焼き料理など多数の人気料理がありますが夏野菜と合わせるデパ地下風マリネサラダなどは要注目です。日本では野菜という認識のじゃがいもですが、世界的には米に続く生産高の主食としての側面があります。外国人向けの食では需要は伸びるとみられます。

フレンチトースト、梅シロップ、そうめん、おにぎり、ホットケーキ

a722c3fbe1a1c08f26610d5e539f093a_mフレンチトーストやホットケーキは特に土日の朝食、ブランチシーンの利用が多く、家族や恋人と食べて幸せを感じる性質を持っています。硬くなったフランスパンの救済としての利用や、ハムやチーズを挟んだフレンチトースト風サンドイッチのモンティクリストも上昇傾向にあります。昨年に引き続き、旬の梅シロップは上昇中で、ピークは6月9日前後です。ホットケーキはホットケーキミックスを使ったケーキ、クッキー、スコーンなどのレシピが人気上昇中です。そうめんは、トマトそうめんの他、そうめんチャンプルー、にゅうめんをはじめ、ひやむぎの関心が高まっています。そうめんと一緒に食べるおかずに関する検索が伸びるため、そうめんに合う惣菜の需要は高まると見られます。おにぎりは、おにぎりの具や、焼きおにぎり、肉巻きおにぎりの注目が高まっています。

梅ジュース、いんげん、父の日、お弁当、とうもろこし

a0002_011550梅酒、梅ジュースや、梅干しなど、梅を使ったレシピの検索数は梅生産量日本一を誇る和歌山県で特に増加し、梅ジュースの人気は全国的に高まっています。生梅は国産が主なのに対し、梅干しは輸入も出回っていますが、初夏に梅干しを使った料理の人気も高まります。旬の野菜としては、いんげんは、胡麻和えや豚肉巻きなど弁当やおつまみに使いやすいものが人気で、胡麻和えは特にマヨネーズで味を整えるものは要注目です。特に和惣菜では調味料の使い方が進化しています。父の日はイベントとしての特別感は低いものの、ステーキなどの肉料理やおつまみが伸びます。子供と一緒に食べられるハンバーグやローストビーフ、つくねや芋餅などのおつまみの人気は高まりお酒を共にした食卓となります。行楽や運動会の影響でお弁当の人気度は5月に引き続き一定のボリュームがあります。とうもろこしは簡単な茹で方や焼き方、コーンスープなど調理法の他、生で食べても美味しい品種「ゴールドラッシュ」や、白い品種「ピュアホワイト」への関心も高まっています。

旬の野菜、ズッキーニときゅうり

昨年に引き続きズッキーニが伸びる傾向にあります。6月が旬のズッキーニときゅうりの東京都中央卸売市場の取り扱い数量を比較すると、きゅうりはズッキーニの10倍以上の数量になっています。きゅうりが増減を繰り返して全体としては横ばいになっているのに対し、ズッキーニは東日本大震災の平成23年を除き取り扱い数量の増加が続いていることがわかります。

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東京都中央卸売市場では6月のきゅうりの取り扱い数量は横ばいになっている。

すでにメーカー・小売各社は、サラダやパスタなどズッキーニのレシピ提案は毎年続けてきていますが、確実にユーザーに浸透してきているようです。きゅうりもここ数年増加傾向にあります。全体のボリュームが大きいだけに、各種冷製料理の合わせ方や漬物など、トレンドの食べ方を分析し、2016年もメニュー提案の強化が必須です。

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ズッキーニの取り扱い数量は増加を続けており、着実に食卓に浸透している。

特に父の日の食は捉えどころがなく扱いが難しい印象がありますが、父の日は「父」と過ごすことが前提となるため、普段とは異なる生活動線になる傾向が見られます。例えばスポット的に現れる傾向として、外出やレジャーに繰り出して「父と過ごす」パターンです。必然的に、軽食としての弁当や外食へのニーズが高まりますが、メニューの決定権を主役である父が持つことになり、ステーキや中華料理が選択されやすくなります。内食においても、(普段のむね肉ではなく…)少しおいしい肉を食べながらビールやハイボールを飲みたいという父の心理があって当然なのです。多面的なデータを複合的に分析し、メニュー決定の深層心理を捉えることは2016年のトレンドを予測する上では必須であるといえます。

(執筆:辻中 玲)