【ヤオコーユーザーに聞きました③】朝は「時間がない」ので「簡単なもの」

朝は皆忙しいもの。今回、生活日記調査にご協力いただいた皆さんも同様に朝はバタバタと出勤準備や子供の支度などで慌ただしい様子が、書かれている生活日記の内容からも見て取れます。

だいたい皆さん6時台には起床し、その後朝食の準備や片づけ、登園の準備、掃除、洗濯など、生活日記の朝の行動記録欄にすき間なく書かれています。8歳と0歳の女の子を子育て中のママの朝はこんな様子です。

ph04そんな忙しい中での朝食はどのようなものが食べられているのでしょうか。「ご飯派、パン派」といった、食べているモノから見るのではなく、生活日記に書かれた心理的な部分から探ってみたいと思います。

朝食シーンで多く見られる記述、それは、「時間がない」だから「簡単なもの」にしている(なってしまった)というものです。それぞれ頻度に違いはあるものの、全員がほぼ毎日生活日記に書いています。

では、「簡単なもの」とはいったいどんな食事なのでしょうか?

われわれの行なう生活日記調査では、生活日記への書き込みと同時に期間中に飲食したもの全ての写真を撮ってもらっています。ここでは、写真と上記の生活日記への記述を併せて見ていきたいと思います。

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写真と一緒に確認すると分かってくることですが、本当に買ってきた菓子パンだけという人もいれば、5皿8品が食卓に並んでいる人もいます。同じ「簡単なもの」であっても人によってこれだけの違いが見られるのです。このような違いは、その人の生活行動をまるごと見る生活日記調査でしか読み取れない部分でもあります。仮に定量調査を行なった場合、この人たちは「朝は時間がないので簡単なものですます」とひとくくりにされてしまうかもしれません。

では「簡単なもの」とは何なのか。インスタント?出来合いのもの?品数を少なくする?皆さんの生活日記を読んでいると、どれも当てはまっているようで微妙に違っているようです。そんななか、一人の人の生活日記の記述から新たな気づきのヒントを得ることができました。彼女は「朝は考えず簡単に済ませたい」と書いています。「考えず」というのがポイントです。それでは、彼女の1週間の朝食の写真を見てみましょう。

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こちらは一目瞭然です。いくつかのものが「定番化」しています。具体的には、食パン、ヨーグルト、ゆで卵、コーヒー(インスタント)の4品をほぼ毎日食べています。多くの場合、土・日・休日には朝食のパターンが崩れることが多いのですが、彼女は土日も定番を崩していませんでした。唯一定番が崩れた月曜日は、子供の授業参観の振替休日に家族でディズニーランドへ出かけた際の行きの車中での朝食です。

このように朝食が定番化していることと「考えず」「簡単に」ということが密接につながっていることは明白です。彼女にとって朝一番無駄な時間は、献立を考えたり迷ったりする時間なのではないでしょうか。また、新しい食材や商品を使うときに「何分ゆでればいいの?」「水は何cc加えるの」などと確認しながら手間取っている時間も無駄なのかもしれません。

では、この朝食の定番品はいつどこで手に入れているのでしょうか?生活日記によると彼女はこの週に食材の買い物を4回しています。内訳は、ヤオコー2回、スーパーバリュー1回、パルシステム1回です。それぞれの買い物で朝の定番品は買われているのか。まずは調査初日、木曜日のヤオコーでは、12点、2,039円の買い物をしています。この買い物では、食パンと卵を買っています。

続いて翌日の金曜日にはパルシステムで、赤魚一夜干し、あずきバー、キャベツ、にんじんを購入。朝の定番品は買っていません。

日曜日のスーパーバリューでの買い物はレシートの写真とともにその買い物に対するコメントも見てみましょう。

ph25 ph26「週末のまとめ買いはスーパーバリューで」とあります。たしかに生鮮三品はもちろん、お酒や子供のおやつまで幅広く買っていますが、朝の定番品の購入は卵だけでした。

その3日後の買い物はヤオコーです。ここでは、13点、785円の買い物のうち食パンのみ。

これらの内容から見ると、買い物全体における朝食の定番品のウェートは低いように思えます。逆に、買い物する際にも「考えず」に足りなくなったものだけ買えるので時間をかけずに買い物ができるとも言えます。

ここまで、生活日記調査をもとに仕事や子供を持つ女性たちが、忙しいながらもどのように「朝食」というシーンにのぞんでいるのかをみてきました。いくつかの気づきにより読み解けた部分もあるかと思いますが、残念ながら生活日記からだけでは分からなかったこともあります。それは彼女たちの「理想の朝食」です。「時間がある」とき、彼女たちはいったいどんな朝食を作るのか?「考えて」つくる「簡単なもの」ではない朝食とは?その「理想の朝食」と現実の朝食のギャップのなかに、もしかすると新たなニーズがあるのかもしれません。

(執筆:信夫 祐紀)