食のトレンド最新動向 2015年11月動向 前編 | 「芋掘り」「栗拾い」という生活シーンに注目!!

やはり季節は「栗」を一押し!

秋(10月)

生活価値観、生活行動は「24節気、72候」という自然の運行リズム、季節の変動に大いに影響される

「食のトレンドレポート」で述べているように、どういった検索キーワードを使って検索サイトを使っているのか。これを私たちは生活者の「気になる」スイッチの押され方のパターンだとみている。直近の2015年10月の1か月間でどのような「気になる」スイッチが押されたのかを、10月のベスト50の動向から“気づき”を簡単に整理してみた。

当然の予想通り「栗」、「栗ごはん」が上位にランキングされている。これは9月に引き続いての傾向である。もちろん昨年の9、10月も同様であったから、生活者にとって食を意識した時に、この季節には必ず行なわれる行動だといっていいものだ。

生活の価値観、それに連動した生活行動は「24節気、72候」という自然の運行リズム、季節の変動に必ず影響されるということからいって予想通りである。季節の変動という、もっとも大きな変化の要因の反映ではあるけれど、これが毎年繰り返されていくという点でいえば、“変わらない”こと、つまり“不易”といっていいトレンドなのである。

少し細かなことをみれば、昨年の「栗」に関するキーワードの登場が9、10月にまんべんなくまたがっていたのに対して、今年はどちらかといえば9月の下旬にピークがあり、10月に入いるとダウンする傾向があった。「栗」に関する「気になる」スイッチの押されるタイミングが、今年の方がやや前倒しであったという気がする。

猛暑ではあったけれど、8月の立秋の到来以降急速に夏の盛りが終わり、秋の訪れが早かったという自然のリズムが影響しているのだろうか。とはいえ、確実に「栗」関連は「気になる」のだった。

“不易”としての「さつまいも」

さつまいも

さつまいもが上位にランクインされたからといって、スーパーで買ったとは限らない。生活行動全体から見ておかなければならないのである。

次にこの季節を反映して上位にランキングされてきたのが「さつまいも」、「スイートポテト」である。今年10月は3位、4位を占めている。前年の10月も全く同様に3位、4位であった。やはり、季節の変化を反映して「気になる」スイッチが押されるが、毎年同様である“不易”という点でいえば、「栗」と同じなのである。

ここでも、昨年に比べてすでに今年は9月から上位にランキングされていたことからみて、やはり今年の方がやや秋は前倒しだったのかもしれない。

とはいえ、予想通り「栗」「さつまいも」という秋の代表選手が10月でもランキングの上位を占めていた。これは「気になる」スイッチを押したという事実(ファクト)そのものだ。

ただし、このことが直ちに「栗」や「さつまいも」がよく買われ、「栗ごはん」がよく作られ食べられたのかどうかとはイコールではない。また、スイートポテトが直ちに多くの家庭の食卓に登場したかどうかとは別のことである。

重要なのはこの季節にどのような生活シーンが特徴的に登場してきたのかということである。ここからは、検索データの累積をいくら積み上げてみたところで大した仮説は得られない。何故に「栗」「さつまいも」といったテーマが「気になる」ということになったのかという生活の背景である。

「芋掘り」「栗拾い」というイベント

栗

子供たちが幼稚園、保育園などで行ってくる「芋掘り」、「栗拾い」というイベントをみておくことも重要である

すでにレポートでも述べてきたことではあるが、この検索データの特質(ある意味では弱点)の一つに、30~40代の子育てママ特有の傾向が強く反映したデータであるということがある。私たちの言葉でいえば「飼育員さん」前期の生活価値や生活シーンが色濃くでているということである。

幼児を抱えた「飼育員さん」たちの9、10月に登場する生活シーンの中で、子供たちが幼稚園、保育園などで行ってくる「芋掘り」、「栗拾い」というイベントはとても重要である。また、家族で行くこともあるだろう。

子供が収穫してきたさつまいも、栗はママにとって、ある意味それを料理するという意味では難敵の一つでもあるが、子供のためにはなんとか手作りで食卓に乗せてあげたいものなのである。もちろん子供と一緒になって料理することもある。たとえ栗をむいていて、中から虫の幼虫が飛びだしてきたとしても挫折して捨てる訳にはいかないのだ

手に余ってしまうことがあれば実家に持っていって、“バァバ”に任せることもあるかもしれない。また逆に実家から作ったものをもらうというシーンもあるだろう。

スーパーの店頭に並んでいるさつまいもや栗を買っていただき、食べていただくというストーリーとは、余り関係のないところでこのテーマは動いているのだろう。

むしろ、「お芋掘り」「栗拾い」という生活行動の前後に注目して、その生活シーンにどのようにフィットしていけばよいのかを考えておく必要がある。

当たり前のことだが、10月のランキングのトップはやはり「ハロウィン」であった。昨年の10月も同様であった。

執筆:辻中 俊樹
(マーケティングプロデューサー)

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