食のトレンド最新動向 2016年1月 前編 | 「ブリの照り焼き」は何故「おせち」??

【目次】「ブリの照り焼き」は何故「おせち」??

  • 「シュトーレン」と「雑煮」が並ぶ
  • 「寄せ集め」の「お正月」
  • 「除夜の鐘」なんていつから?
  • 根拠のある「ごった煮」

執筆:辻中 俊樹
(マーケティングプロデューサー)


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食のトレンド最新動向 2015年12月動向 後編 | 「クリスマス」の主人公は誰??

発明品だらけの「メリークリスマス」

“メリークリスマス!”今日はまさにクリスマスイブ、皆さんはどのようにお過ごしになるのだろうか。

前号で述べたように、11月なのにもうすでに「クリスマス」が<気になる>スイッチの第1位になっていた。当然のことながら、12月には断然トップになっているはずである。

クリスマスの食卓去年の12月は「クリスマス」「クリスマスケーキ」が圧倒的な<気になる>ワンツーフィニッシュだった。因みに直近の12月15日までの12月前半月分をみてみると、案の定すでに「クリスマス」「クリスマスケーキ」がワンツーを独占している。

このことはもはや食のトレンドを越えて生活価値観として、11、12月の“不易”を形成していることは間違いないことだ。だからこそ、そのことが持つ本質的な意味を理解しておくことが大切である。

前回も説明したように「クリスマス」というものが表象しているものは、ほとんどが発明品の「接ぎ木」なのだ。西欧の風俗でいえば、「冬至の祭り」の上に、多くの発明品が「接ぎ木」されており、初源の価値は「冬至の祭り」でしかないのだ。

子供たちこそが主人公!

「冬至の祭り」の主人公は子供である。夜の暗闇が長くなり、霊や死者がこの世界に満ち満ちてくる時、それを具体的に代理する象徴が子供たちであった。村々の家々をまわり、大人たちが用意しておいた食べ物やお菓子などを強要していくことがこの期間には許されていた。

大人たちは食べ物やお菓子を用意し、子供たちにプレゼントとして渡すことで、霊や死者を慰めることを通して太陽の復活と翌年の豊作を期待したのである。

シュトーレンそれらの子供たちへ贈与される食べ物やお菓子が原形となって、ライスプディングやシュトーレン、ブッシュドノエルなどといった現代に伝承されたお菓子や食べ物が生まれ伝えられてきたのだ。「クリスマスケーキ」という言い方をされるものも、本質的にいえば子供たちへのプレゼントということが本質的な価値なのである。

またその上に「接ぎ木」された「サンタクロース」という発明品も、基本的には子供たちへのプレゼントを行なうということに尽きるのだ。

<冬至の祭り>の食べ物群

昨年の12月の<気になる>ランキングをみていると、「クリスマスケーキ」というワード以外に「チーズケーキ」「スポンジケーキ」「ロールケーキ」「アップルパイ」というケーキ系に加えて、「シュトーレン」「ブッシュドノエル」が確かに登場していた。

また、ローストビーフ、ローストチキン、ビーフシチューなども同様に<気になる>スイッチを押すことになるアイテムである。

ローストビーフつまり、これらは<冬至の祭り>以来、子供たちにプレゼント、贈与されることになった食べ物、お菓子が原形になったものなのだ。だから、日本の風土に存在する冬至のかぼちゃ、ゆず、白菜などが関与することは中々できないものだということができる。

今年の12月15日までの半月分の傾向も全く同様のことになっている。「ブッシュドノエル」だけがまだ<気になる>スイッチを押していない。これはたまたま去年「ブッシュドノエル」がブームだっただけのことなのか、今年もこれから上昇してくるのかはわからない。ただ、「ブッシュドノエル」は根の深い原形を持っていることだけは確かなのだ。

様々な曲折や「接ぎ木」を経ながらも、いわゆる「クリスマス」というものが、子供たちを主人公にした催事であることは変わらずに続いてきたといえるし、今後共この価値は維持されていくだろう。もちろんその上に、新しい発明品が生みだされていくことは確かではあるが。

「恋愛ゲーム」のクリスマス以降は?

ところが、この“不易”の価値の上に、また新しい発明品が<接ぎ木>されたのである。これは日本の特有現象なのだろうか。子供たちが主人公であった「クリスマス」というものが、カップルたちの通過儀礼になったのである。つまり、子供が主人公だというところから、「クリスマス」というものに「恋愛ゲーム」という新しいコードが生みだされたということになる。

1990年前後にJR東海が行なったクリスマス・エキスプレスというキャンペーンがその始まりのイメージかも知れない。クリスマス、カップル、恋愛というものがコードを獲得したのである。日本では「クリスマス」というものは「恋愛ゲーム」の舞台ということの方が市民権を得た風情もあった。これは明らかに全くの発明品以外の何物でもない。

46f3dec77d22fb3a26cac9e0e5568f9a_lだが、このブームへの反作用なのか、最近では「クリぼっち」ということの方が時代の実態を反映しているようなところがある。「ひとりぼっち」で過ごす「クリスマス」ということで、「恋愛ゲーム」からの脱コード化の進化のようでもある。これはこれで新しい発明品を生みだしていくことになるだろう。

さて今年の「クリスマス」はもう終わり、来年の「クリスマス」に向けて、どんな発明品を皆さんは考えるのだろうか。それはどんな本質的な価値と根拠を持つものなのだろうか。

年内の本サイトからの情報発信はこれで最後となります。来年もご期待ください。

執筆:辻中 俊樹
(マーケティングプロデューサー)

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【歳時・イベント】歳時・イベントの重要度と食の関連性

「バレンタイン」「クリスマス」「ハロウィン」は伸びが顕著。注目は運動会シーズンの弁当

Google Trendsのフード、ドリンクを見ると、「バレンタイン」「クリスマス」「ハロウィン」は伸びが顕著です。また、春と秋に行われる「運動会」は微増ながら一定のボリュームがあります。運動会の関連食は「弁当」で、祖父母と親子や友人などで「弁当」を囲むシーンも多いため、しっかりと作りこんだハレの食となっているとみられます。

バレンタインとその他の歳時・イベントの差は大きい

「バレンタイン」「クリスマス」「ハロウィン」と比較すると、「正月」「節分」「母の日」「父の日」「ひな祭り」「こどもの日」「七夕」「お盆」などのイベントの人気度が低いのが特徴的です。インターネットユーザーやレシピサイトの利用者の世代(食のトレンドでは20〜40代と捉えています)では、「バレンタイン」「クリスマス」「ハロウィン」が人気度の高いイベントのTOP3といえます。

歳時・イベントと食キーワードの関連度

催事・イベントと食キーワードの関連度を見ると「クリスマスとケーキ」「バレンタインとチョコ」「節分と恵方巻き」の関連度が高くなっています。また注目すべきは「春の行楽イベント(例:運動会)と弁当」の関連度が「お正月とおせち」や「お正月とお雑煮」と同程度に高くなっていることです。「弁当」は2015年春の行楽シーズンも増加傾向にあり、開拓の余地のある歳時・イベント関連の食キーワードと言えそうです。


また「節分と恵方巻き」が伸びているのに対して、「正月とおせち」や「正月と雑煮」が伸びが鈍くなっています。これは大所帯の食をベースに構成されている「おせち料理」が、単身世帯や核家族の増加に対応しきれていないことが関係していると考えられます。一方レシピサイトの集計分析では1月1日に「雑煮」の注目度が急激に高まります。特に「おせち料理」の内食に関しては新たな提案を行なうべき時期に来ていると考えられます。

その他の歳時・イベントと食キーワードの関連度

その他「ひなまつりとちらし寿司」「丑の日とうなぎ」「月見と団子」「彼岸とおはぎ」など特定の食との関連性の強い歳時・イベントが様々あります。これらはクリスマスやバレンタインと比較すると小さなボリュームに見えますが、例えば「彼岸におはぎ」を利用しているのはシニア世代が多数となっています。また「彼岸におはぎ」を利用するユーザーは「月見に団子」を利用する消費動向を持っていると考えられます。

eventandfoods

集計方法:Google Trendsの各キーワード直近の数値の、通常期の最低値とイベント期の最高値の増加値をグラフ化。