【食のトレンドレポート Vol.8】やはり「旬」「季節感」が 最大の〈きっかけ〉スイッチだ!!

【目次】やはり「旬」「季節感」が最大の〈きっかけ〉スイッチだ!

  • とにかく〈気になる〉「クリスマス」
  • 子供の通過儀礼としての催事群
  • 旬、季節感という〈気になる〉スイッチ
  • 何故「季節感」が大切なのか?

執筆:辻中 俊樹
(マーケティングプロデューサー)


食のトレンドレポートVol.8が配信されました。流行に左右されない“不易”の食のトレンドがある一方で、“流行・ブーム”としての食のトレンドが存在します。流行・ブームとしての「クリスマス」や「バレンタイン」をはじめとする催事が、どのような価値を持ち、なぜ<気になる>のか?ここに、子供を抱えたママ達の価値観を捉えるためのヒント、さらには三世代連鎖消費へとつなげる手がかりがあります。季節によって刻々と変化しながらも、実は本質的には“不易”の価値を持つ催事、料理や野菜たちにフィーチャーし、食における「旬」「季節感」の持つ生活価値へとさらに掘り下げていきます。

「食のトレンドレポート」の本年の配信はこの号で終わりです。次号は1/5(火)にお届けします。「サブレポートNo.4」は本サイトにて24日に公開しますのでお読みいただければ幸いです。


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食のトレンド最新動向 2015年11月動向 後編 | 「白菜」パワーをしっかり把握する!

「白菜」「里芋」がスイッチを押す!

里芋の芋汁

10月に強く<気になる>スイッチを押しているのが「白菜」と「里芋」である。

2015年10月の<気になる>スイッチの動向の後編である。前回述べたように、この時期の<気になる>スイッチを強く押すテーマはまずは「栗」、「さつまいも」であった。

その季節ならではの、いわゆる旬の素材が圧倒的に<気になる>のだ。これらの素材は群を抜いて上位にランキングされてくる。「栗」「栗ごはん」は9月では1、2位だったし、10月では「さつまいも」「スイートポテト」は3、4位というように、万人が(限られたセグメントの中の)意識することになるものである。

ただし、一気にピークは到来するけれども、潮が引いていくのも極めて早い。10月に一気に波が来るが11月になればもう<気になる>スイッチはほとんど押されなくなるのだ。「栗」よりも「さつまいも」は、やや息が長いようで10月をトップシーズンにして、9、10、11月の3ヶ月くらいは持ちこたえている。

「栗」は別として、実際は「さつまいも」は通年で食べられている訳だし、12月以降は食卓から消え去る訳ではないのだ。ここのポイントをよくみておく必要がある。

さて、「栗」、「さつまいも」と並んで10月に強く<気になる>スイッチを押しているのが「白菜」と「里芋」である。10月では「白菜」が5位、「里芋」が7位ということになっている。すでに9月には2つとも20位台に顔を出しており、いよいよ<気になる>スイッチを強く押し始めたということだ。

ロングパワーを持つ「白菜」

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「白菜」は<気になる>スイッチを押す頻度が多い上に、それが息長く続くロングパワータイプである。

秋の始まりと共にこの素材たちが登場し、秋の深まりに伴なってさらに<気になる>頻度が増え、冬の到来、深まりが強くなればなるほど意識されていくことになる。恐らく11月のランキングでは「白菜」がトップになるだろうと予測している。因みに去年の11月は「白菜」が堂々の1位だった。この「白菜」の特徴は、9月に登場し1月くらいまでの半年近い間、ずっと<気になる>スイッチを息長く押し続けるのである。

去年の動向を振り返ってみると10、11、12、1月の4ヶ月間にわたって、ずっとランキングのベスト10の上位を維持し続けていた。<気になる>スイッチを押す頻度も圧倒的に多い上に、それが息長く続く、ロングパワータイプなのである。トレンドレポート本編でも述べてはいるが、12月というシーズンはとにかく他の11ヶ月とは全く異なった旬、催事テーマが<気になる>ことになる。クリスマス関連に勝てるものはまずない。そんな異常な12月ですら、去年でみれば「白菜」は4位をキープしていたし、続いてお正月などで異常を起こしやすい1月でも6位にランキングされていた。

こんな特徴を持った野菜素材は他には全くないといっていいのだ。因みに10月では大きくランキングを上げた「里芋」が、11月にはまだそれなりのポジションをキープするが、それ以降は圏外に姿を消すことになる。今年の11月もたぶんそうなっているのではないだろうか。

その意味では「栗」「さつまいも」と似た傾向である。ただ、12、1月に「里芋」がまったく食べられなくなってしまったということにはならない。「白菜」という素材は、旬の意識が極めて強い上に、その息が長いということに着目しておくべきなのである。

「白菜」を「鍋」素材から開放できるか?!

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「白菜」といえば、最も相性のいいメニューは「鍋」ということになるが、本当にそうなのだろうか。

加えて、毎年この傾向が再来し続いているということでいえば“不易”なのである。単なる一過性のブームでもなく、旬、季節の到来の影響を強く受けて<気になる>スイッチを強く押す上、それがロングライフであること。こんな「白菜」は、ある意味大きなチャンスを生みだしているのだ。

まずは「白菜」といえば、最も相性のいいメニューは「鍋」ということになるが、本当にそうなのだろうか。もちろん、<気になる>スイッチの動向をみていると、10、11月あたりで「鍋」というテーマもまた、<気になる>スイッチを押していることがわかる。ただし、群を抜いて上位に上がってくる訳ではなく、12、1月になるとあえなくランキング外に姿を消してしまう。

私たちの視点でみれば、「鍋」はもっと通年化して食卓に登場しているのが実態である。もちろん、秋が深まってくることでより「鍋」を意識し、登場頻度も上がってくることにはなる。ただ、「鍋」というテーマ自身が<気になる>のは11月一杯ということに注意しておかなくてはならない。

私たちの感じ方でいえば、「白菜」を冬が近づいた季節ならではの、「鍋」の基本素材に閉じこめておくことは、生活者の食の実感、あるいは困り事に全くあっていないということになる。むしろ、「白菜」を「鍋」からもっと開放することこそを生活者は望んでいるといえよう。

古来ならば、旬の「白菜」は漬け物にされて保存されていったのだろうが、現代の都会ではそれは無理な相談である。トレンドレポート本編でも述べることになるが、「白菜」をうまく「段取り」をし「一工夫」する知恵こそが望まれている。

執筆:辻中 俊樹(マーケティングプロデューサー)

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食のトレンド最新動向 2015年11月動向 前編 | 「芋掘り」「栗拾い」という生活シーンに注目!!

やはり季節は「栗」を一押し!

秋(10月)

生活価値観、生活行動は「24節気、72候」という自然の運行リズム、季節の変動に大いに影響される

「食のトレンドレポート」で述べているように、どういった検索キーワードを使って検索サイトを使っているのか。これを私たちは生活者の「気になる」スイッチの押され方のパターンだとみている。直近の2015年10月の1か月間でどのような「気になる」スイッチが押されたのかを、10月のベスト50の動向から“気づき”を簡単に整理してみた。

当然の予想通り「栗」、「栗ごはん」が上位にランキングされている。これは9月に引き続いての傾向である。もちろん昨年の9、10月も同様であったから、生活者にとって食を意識した時に、この季節には必ず行なわれる行動だといっていいものだ。

生活の価値観、それに連動した生活行動は「24節気、72候」という自然の運行リズム、季節の変動に必ず影響されるということからいって予想通りである。季節の変動という、もっとも大きな変化の要因の反映ではあるけれど、これが毎年繰り返されていくという点でいえば、“変わらない”こと、つまり“不易”といっていいトレンドなのである。

少し細かなことをみれば、昨年の「栗」に関するキーワードの登場が9、10月にまんべんなくまたがっていたのに対して、今年はどちらかといえば9月の下旬にピークがあり、10月に入いるとダウンする傾向があった。「栗」に関する「気になる」スイッチの押されるタイミングが、今年の方がやや前倒しであったという気がする。

猛暑ではあったけれど、8月の立秋の到来以降急速に夏の盛りが終わり、秋の訪れが早かったという自然のリズムが影響しているのだろうか。とはいえ、確実に「栗」関連は「気になる」のだった。

“不易”としての「さつまいも」

さつまいも

さつまいもが上位にランクインされたからといって、スーパーで買ったとは限らない。生活行動全体から見ておかなければならないのである。

次にこの季節を反映して上位にランキングされてきたのが「さつまいも」、「スイートポテト」である。今年10月は3位、4位を占めている。前年の10月も全く同様に3位、4位であった。やはり、季節の変化を反映して「気になる」スイッチが押されるが、毎年同様である“不易”という点でいえば、「栗」と同じなのである。

ここでも、昨年に比べてすでに今年は9月から上位にランキングされていたことからみて、やはり今年の方がやや秋は前倒しだったのかもしれない。

とはいえ、予想通り「栗」「さつまいも」という秋の代表選手が10月でもランキングの上位を占めていた。これは「気になる」スイッチを押したという事実(ファクト)そのものだ。

ただし、このことが直ちに「栗」や「さつまいも」がよく買われ、「栗ごはん」がよく作られ食べられたのかどうかとはイコールではない。また、スイートポテトが直ちに多くの家庭の食卓に登場したかどうかとは別のことである。

重要なのはこの季節にどのような生活シーンが特徴的に登場してきたのかということである。ここからは、検索データの累積をいくら積み上げてみたところで大した仮説は得られない。何故に「栗」「さつまいも」といったテーマが「気になる」ということになったのかという生活の背景である。

「芋掘り」「栗拾い」というイベント

栗

子供たちが幼稚園、保育園などで行ってくる「芋掘り」、「栗拾い」というイベントをみておくことも重要である

すでにレポートでも述べてきたことではあるが、この検索データの特質(ある意味では弱点)の一つに、30~40代の子育てママ特有の傾向が強く反映したデータであるということがある。私たちの言葉でいえば「飼育員さん」前期の生活価値や生活シーンが色濃くでているということである。

幼児を抱えた「飼育員さん」たちの9、10月に登場する生活シーンの中で、子供たちが幼稚園、保育園などで行ってくる「芋掘り」、「栗拾い」というイベントはとても重要である。また、家族で行くこともあるだろう。

子供が収穫してきたさつまいも、栗はママにとって、ある意味それを料理するという意味では難敵の一つでもあるが、子供のためにはなんとか手作りで食卓に乗せてあげたいものなのである。もちろん子供と一緒になって料理することもある。たとえ栗をむいていて、中から虫の幼虫が飛びだしてきたとしても挫折して捨てる訳にはいかないのだ

手に余ってしまうことがあれば実家に持っていって、“バァバ”に任せることもあるかもしれない。また逆に実家から作ったものをもらうというシーンもあるだろう。

スーパーの店頭に並んでいるさつまいもや栗を買っていただき、食べていただくというストーリーとは、余り関係のないところでこのテーマは動いているのだろう。

むしろ、「お芋掘り」「栗拾い」という生活行動の前後に注目して、その生活シーンにどのようにフィットしていけばよいのかを考えておく必要がある。

当たり前のことだが、10月のランキングのトップはやはり「ハロウィン」であった。昨年の10月も同様であった。

執筆:辻中 俊樹
(マーケティングプロデューサー)

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